サウジアラビアの東部で14日午前、国営石油会社サウジ・アラムコの施設2か所が無人機・ドローンによる攻撃を受け、火災が発生する事件が発生しました。
石油関連施設がドローンによる攻撃を受けた影響で、国営石油会社の原油生産の約半分が停止したことを明らかにされたことを受け、原油価格は一時10%以上上昇し、アメリカの報復による警戒感から金・銀まで上昇する事態に。
サウジ・アラムコの原油生産量の約半分にあたる570万バレルは世界の原油供給の約5%に相当する量で、供給不安による懸念から上昇しました。
この記事では今後原油価格はどのように推移していくのかを少し考察してみたいと思います。
原油価格は早々に落ち着く
事件を受けて北海ブレントの価格が19%急騰し、WTIも16%急騰したのですが、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相が同国の産油能力について、早期回復の見通しを示したことを受け、17日のWTI終値は1バレル=59.34ドルまで値下がりしました。
原油価格はまだ高水準
サウジ・アラムコはサウジアラビア国内でのIPOの準備に着手していました。
アブドルアジズ・エネルギー相は具体的に、石油施設では復旧が進み、すでに日量200万バレルを生産しているとし、今月末までには元の生産能力を回復する、と宣言。
同時にサウジ・アラムコはIPOの準備は継続する意向も示しています。
原油供給懸念についてはスピード解決の見通しとなった一方で攻撃を受けたサウジアラビア側がアメリカとどのような対応をするのか、それによって再び供給懸念が起きるのか、現段階では不明ですが原油価格は以前5月の水準で推移しています。
トランプ大統領はこの水準でも「非常に大きくは上がっていない」と見ているようで、必要に応じて米戦略石油備蓄を放出することを承認したと明らかにしているものの、今のところは進めていないようです。
OPECは
石油輸出国機構(OPEC)は増産に慎重な姿勢を示しているようです。
アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は、産油国では世界経済の減速による需要後退への懸念が根強く、いますぐ増産に動けば価格の下落を招きかねないと警戒していると報じられています。
日本への影響は
日本は原油輸入量の約4割をサウジアラビアに依存しており、一般的に目に見えた影響となるのがガリソン価格。その他石油製品価格の上昇も考えられます。
一方で原油高が業績の追い風となる「石油関連株」が連休明けから大きく買われるも、早期解決が見込まれ原油価格が下落したことで、これらの銘柄も一瞬の上昇で終わっています。
1605:国際石油開発帝石
1662:石油資源開発
5019:出光興産
5020:JXTGホールディングス
米国株では生産に伴う影響や金利の影響から一時NYダウそのものに影響を及ぼし、石油関連株が下支えになるという状態になりました。
XOM:エクソンモービル
CVX:シェブロン
原油価格の今後
トランプ大統領としては原油価格はある程度の位置で推移していてほしいのではないでしょうか。
原油価格の下落は、エネルギー関連企業の業績悪化が懸念されますし、一方で原油価格の上昇は消費者に影響を与えます。
どちらも適正に推移できれば大統領選に向けてのプラス要因となるはず。そういった点を踏まえると、地政学リスクの観点を除けば1バレル=50~60ドル以下の水準で安定するのではないかと見ています。